KANZEI ROWING × YURU TRAINING
ゆるめて、漕ぐ。
関西高校ボート部と小野勝之
国体6連覇をはじめ、長い年月にわたり全国の舞台で結果を残してきた関西高校ボート部。森川幸夫先生のチームづくりと、小野勝之先生による「ゆる体操・ゆるトレーニング」は、どのように出会い、選手たちの身体づくりに組み込まれてきたのか。公開資料と映像から、その歩みをたどります。
TEAM MORIKAWA
「あの感動をもう一度」
35年を超えるチームの記録
関西高校ボート部の公式ホームページ「TEAMモリカワ」には、大会記録、森川幸夫先生の指導論、国体六連覇の記録、長年の写真や文章がまとまっています。単なる戦績集ではなく、毎年入れ替わる高校生たちとチームを作り続けてきた記録そのものです。
森川幸夫先生
関西高校で長年ボート部を率い、2004年から2009年までの国体6連覇を含む数々の全国実績を残しました。2023年には35年間の指導と選手育成への貢献が評価され、山陽新聞体育特別賞を受賞しています。
小野勝之先生
公開インタビューでは、2003年から関西高校ボート部へのゆる体操指導を継続していると紹介されています。選手の成長段階に合わせ、椅子で行う体操や背骨・肋骨・肩甲骨まわりの動きを中心に指導してきました。
SIX STRAIGHT TITLES
2004–2009
国体6連覇
TEAMモリカワに残る「国体六連覇の軌跡・奇跡」では、2004年の埼玉国体から2009年の新潟国体まで、舵手付きクォドルプルで6年連続の優勝が記録されています。
THE TRAINING IDEA
「普通の高校生」が
変わっていく過程を見る
2009年の小野先生へのインタビューでは、入学時にはごく普通の高校生だった部員が、先輩との差を目標にしながら、肩甲骨や肋骨の動き、リラックス感覚を少しずつ身につけていく様子が語られています。勝敗だけでなく、自分の身体の変化を本人が実感できることが継続の動機になった、という点が印象的です。
京都大学ボート部が2018年に関西高校を訪問した記事では、森川先生は「知らなかったからこそ、いろんなものが入ってくる」と語り、競技経験者の常識だけに閉じず、多様な練習法を取り入れてきたことが紹介されています。その中で高く評価していたものの一つが「ゆる体操」でした。当時の記事では、小野先生が毎週月曜日に指導し、その日は約1時間、ゆる体操を中心に取り組んでいたと記録されています。
小野先生の2009年インタビューでは、ボートが座位で行う競技であることから「椅子ゆる」を基本にし、外からも変化を確認しやすい肩甲骨の動きを目標として利用したこと、また大会前には短時間のゆる体操で緊張を和らげ、選手自身がリラックスした状態を作ろうとしていたことが語られています。
ONO × MORIKAWA / DIALOGUE
対談から読む、
「身体が変わる」3年間
小野勝之先生と森川幸夫先生の対談から、選手たちの変化がよく表れている4つの場面を抜き出しました。詳しい文字起こしはページ最下部の「おまけ」から読めます。
小野先生は、この世代について、それまで以上にゆる体操へ本気で取り組んだと振り返ります。森川先生も「これをやったら勝てる」と選手自身が感じていたのではないか、と応じています。
0:48から対談を見る ↗一川選手、横田選手らが自分の身体を変えていく姿が、チーム全体の認識とモチベーションを引き上げた、と小野先生は語ります。個人の変化が、練習文化そのものへ波及していったという証言です。
1:31から対談を見る ↗森川先生は、一川選手について、入学当初は運動が得意とは言えず心配していたものの、ゆる体操を覚えることで身体の変化と技術向上を本人が実感していった、と話します。
4:16から対談を見る ↗対談後半で小野先生が強調するのは、3年間ゆる体操を続けた選手たちが、インターハイから国体までの短い期間にも上達し続けるという点です。森川先生も、インターハイで敗れた相手を国体で逆転した例が複数あったと応じています。
6:11から対談を見る ↗MOVIES
映像で見る
関西高校ボート部のゆるトレ
小野先生自身の解説と、森川先生・選手たちの言葉で、身体の変化やトレーニングへの取り組み方を見ることができます。
国体6連覇を達成した関西高校ボート部のゆるトレーニング! 夢の国体3種目制覇に!
国体6連覇を達成した関西高校ボート部の強さの秘密! ゆるトレでどう身体が変わっていくのか!
映像では、選手たちが背骨・肋骨・骨盤などの動きを自分で感じながら練習している様子が紹介されています。
小野先生は、3年間続けることで大会終盤まで身体の状態を高め、最後の時期にも上達を続けられることを関西高校の特徴の一つとして語っています。
2本目では、肩甲骨だけでなく肋骨の動きを漕ぎにつなげるため、余計な力を抜くことの重要性が解説されています。
CONTINUING STORY
6連覇の後も、
挑戦は続いている
関西高校ボート部の歴史は6連覇で終わっていません。2022年には男子舵手付きクォドルプルで11年ぶりのインターハイ優勝。2025年には中国高校ローイング選手権の舵手付きクォドルプルで6連覇を達成するなど、世代が変わっても全国・中国地区の舞台で結果を残し続けています。
強さの背景にあるのは、一つの方法だけではありません。森川先生のチームづくり、選手自身の努力、ボートの技術練習、そして身体への気づきを深めるゆるトレーニング。その積み重ねが、TEAMモリカワの長い物語を形づくっています。
本ページでは、トレーニング効果に関する記述は公開インタビュー・動画内の指導者や選手の見解として紹介しています。特定のトレーニングと競技成績の因果関係を断定するものではありません。SOURCES & FURTHER READING
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関西高校ボート部の歩みは、学校公式サイト、TEAMモリカワ、京都大学ボート部の訪問記事などに豊富な記録が残されています。
OFFICIAL BLOG
TEAMモリカワの記録へ
全国大会の結果だけでなく、選手たちの日々、森川先生の言葉、OBたちの記憶まで。関西高校ボート部の長い歴史を、公式サイトでぜひご覧ください。
関西高校ボート部ホームページを見る ↗おまけ|小野勝之先生 × 森川幸夫先生 対談を読む
ページ上部の対談動画を、OTOBON Video Intake / faster-whisper で文字起こしし、会話の流れが読みやすいように整えました。重複する言い回しや明らかな音声認識ミスのみを整理し、発言の趣旨は変えていません。
SCENE 1 この世代は、なぜゆる体操に本気になったのか
ゆる体操、ゆるトレーニングには以前からよく取り組んでくれていましたが、今回のメンバーは本当にそれ以上に取り組んでくれたと思っています。国体3種目制覇に、最も近づいたメンバーだったと感じています。それぐらい、ゆる体操に本気で取り組んでくれた世代でした。先生から見て、どんな感じでしたか。
そうですね。彼らは本気で取り組んでいたと思います。「これをやったら勝てる」と思っていたんじゃないでしょうか。
中でも、一川君、横田君たちが自分の身体を変えていくことで、みんなのゆる体操に対する認識やモチベーションをぐっと上げてくれたと思っています。ゆる体操で自分が上達することを実感して、さらに本気になっていったメンバーだったのではないでしょうか。
彼らは中学校の時にはボートをやっていません。それぞれ陸上やテニスなどをやっていて、勝ってきた練習をそのまま続けているわけではありません。ゆる体操をやりながらボートに取り組んで、「こんなにパフォーマンスが上がるのか」と実感した。だから、自分の成長の次のページをめくりたくなったんじゃないですか。まだ先があることが、楽しくてしょうがなかったと思います。
SCENE 2 身体の奥へ――肩甲骨、肋骨、背骨
左右の動きだけでなく、いろいろな方向へのずれもパフォーマンスには有効です。肩を前から後ろへ動かすだけでなく、肩甲骨を立てた状態で、身体の内側の動きまで高めていきます。
一川君は、僕が指導させていただいた経験の中でも、特に身体が変わった選手の一人だと感じています。先生から見て、一川君の変化はどうでしたか。
言い方が難しいところもありますが、3年生8名の中で、1年生の時にはかなり下のほうでした。運動も得意なほうではなく、「この子はどうなるのかな」と心配していたくらいです。けれど、ゆる体操を覚えることによって、自分の身体の変化、そして技術の向上を自分で実感していったと思います。おとなしい子でしたけどね。
そうですね。僕も、一川君がゆる体操で上達していることを、押しつけにならない距離感で本人に自覚してもらうようにしていました。なかなか苦戦しましたが、楽しかったですね。彼の動きは、背骨や肋骨にかなり意識が通っています。
1年生で入ってきた時には、本当にごく普通で、運動が苦手なくらいの子だったと思います。でも取り組み方がとても良かった。3年間で背骨、肋骨、骨盤への意識が相当高まって、結果としてインターハイで日本一になるところまで上達していった。その変化の仕方が印象的でした。
SCENE 3 最後の最後まで、上達し続ける
国体3種目制覇という夢は、遠い目標に見えるかもしれません。ただ、関西高校のこれまでのチームにも共通していることですが、3年生が最後までゆる体操を続けていることで、インターハイから国体までの最後の時期にも身体が変わっていくんですよね。
他のチームも3年間ずっと上達して、スピードを上げています。インターハイから国体までは2、3か月しかありません。その短い期間に、さらに大きく上達するのは簡単ではありません。でも関西高校には、最後の最後まで上達し続ける、という特徴があると思います。
インターハイで負けた相手に、国体でひっくり返すということが何回かありましたね。
それがあったので、今回も「国体3種目制覇までいけるんじゃないか」と思っていたんです。
いや、狙っていました。
※話者表記と文章の区切りは、音声文字起こしと動画の会話の流れをもとに編集しています。固有名詞や専門語には自動文字起こし由来の誤認識が残る可能性があります。競技成績と特定トレーニングの因果関係を断定するものではなく、対談内で語られた指導者の見解として掲載しています。